「慣れていますからね。それでは、小夜さんもおやすみなさい。」



執事は、組長を抱えたまま、歩いていった。



私は、執事の後ろ姿を少しの間、眺めていたが、すぐに、自分の部屋へと歩き始める。



その部屋に戻る最中、どこかの部屋で誰かが呼ぶ声を聞いた。



耳を澄ませて、声の聞こえる部屋の前に辿り着く。



恐る恐る部屋を開けると、なんとそこには、縄で縛られたままのポチが転がっていた。



「・・・・何、してるんですか?」



私は、縄に縛られて、転がっているポチに声をかける。



「ああ、やっと助けが・・・聞いてくださいよ、小夜姉さん。アッシ、起きたら、なぜか、縄に縛られて、床に転がされていたんですよ。呼んでも、呼んでも誰も来てくれないし・・・もう・・・どうなることかと。」



ポチが、私の顔を見て、うれしそうに話しかけてくる。



私は、そういえば、最初、ポチを人質として殴りこみに行くはずだったことを思い出した。



(結局、人質使わなかったし、しかも、みんな殴りこみに行って、屋敷に誰もいなかったからだ・・・)



私は、縛られたままで置き去りだったポチが、少しかわいそうになった。



私は、急いで、ポチを縛っていた縄を解く。