「はい。大丈夫ですよ。幸いにも、雑居ビルの中には、捕まっていた女性の方がいましたので、後は、警察に任せちゃいましょう。」
いつもの笑顔の執事が、私を見つめる。
「警察ですか?」
「はい。それが警察の仕事です。私たちは、女性を助けるために乗り込んだということにしちゃいます。」
「大丈夫なんですか?」
「少しは警察から呼び出されるかも知れませんけど、犯罪者を捕まえるための暴力ですから、許されるでしょう。・・・・小夜さんには、結局、小夜さんのご両親を殺したかどうかわからなくて申し訳ないですけど。」
「・・・・いいんです。確かに真実は知りたいですけど・・・そのために組長や龍一さんやみんなを危険な事にあわせるのは・・・違うような気がして。」
「小夜さんは、優しい方ですね。」
執事は、私の頭を右手で優しくなでる。
私と執事は、その状態で少しの間、見つめ合っていた。
「あ、あの・・・執事さん・・・すいませんでした。」
いきなりサブが、執事に声をかけた。
執事は、サブが声をかけてくるとすぐに、私の頭から手を離し、サブの横に立つ。


