「あの話してくれた方ですか?」



私は、満月の夜を思い出す。



「そうです。・・・・あの時は、さすがの私も生まれて初めて、我を忘れるような怒りを覚えました。」



執事が、何かを思い出すように遠い目をする。



「でも・・・でも・・・その鮫田組が、本当に私の両親を殺したのかわからないんですよね?・・・・違っていたら・・・」



「安心してください、小夜さん。もし、本当に小夜さんのご両親を殺していたなら、当然、私が、その報いを受けさせますが、もし、違っていたとしても、構いません。・・・・鮫田組は、殺しやドラッグ、果てには、人身売買の噂まで聞こえてくる、本当の外道な組です。もともと、機会があれば、潰してしまおうと思っていた組ですから。」



執事が、好戦的な笑みを私に向ける。



「・・・・・でも、今回のことで、もし、誰か死んでしまったら・・・私・・・。」



私は、私がきっかけで起こった戦争で笹山組の誰かが死んでしまったらと考えると、不安でしょうがなかった。



執事は、私に満面の笑みをむけて言った。



「安心してください。死ぬのを怖がるようなヤクザは、笹山組には、いりませんから。」



私は、その表情を見て、執事が完全に戦闘モード&Sモードの執事になっていることを確信した。



これまでのような戦闘好きのSな執事だけでなく、今回は、今までとは違い、心に殺意満タンの組長まで・・・・。



私は、この鮫田組への殴りこみが、無事に終わるのか、非常に不安を感じずにはいられなかった。