「龍一、小夜も馬鹿じゃないんだから、自分に関係あるかないかぐらい、話の流れでわかるだろ?しかも、今回の話は、小夜の両親に関することじゃないか。復讐の機会を取り上げるのは、優しさじゃないんじゃないか?」
組長は、執事に言い聞かせる。
「あの・・・復讐の機会ってどういうことですか?」
私は、組長と執事を見た。
「・・・・小夜さん・・・・あなたのご両親に関することですけど、・・・・小夜さんの話とポチさんの話を比べるとおかしな点が出てきます。・・・・・小夜さんが、警察で遺体を確認する前日に、すでにポチさんは、小夜さんのアパートに行くように命令されています。これは、どう考えても無理です。・・・もし、可能だとすれば・・・・・小夜さんのご両親を殺した犯人くらいです。それ以外の人が、遺体の身元がわかる前に、あの命令を出せるはずはありません。」
執事は、苦しそうな表情で私を見つめる。
「・・・・でも・・・・警察は、事故だって・・・言ってましたけど・・・。」
「事故に見せかける殺しなら、いくらでもやりようがあります。・・・・ただ、確証がある話では、ありませんので、私とヒナタさんで乗り込もうと思っていたのですが・・・。」
執事は、悲しそうな目で私を見た。
「小夜、鮫田組っていうのは、小さい組だけど、金さえ払えば、殺しでも簡単にやる外道な組だぞ。そこともめるって事は、当然、命の危険も出てくるって事だけど、それでも、お前は、ついてくるか?」
組長が、私の目を真っすぐに見つめて、聞いてきた。


