組長は、とどめに特上の笑顔をおばさんに向けて手を離す。
おばさんは、顔を真っ赤に染めて今にも倒れそうだったけど、どうにか踏みとどまっている様子。
「それじゃ、小夜さん、弟、行こうか?」
組長は、私と真木ヒナタに声をかけて、車に乗り込む。
「おばさん、ありがとうございました。」
私は、まだ、顔を真っ赤に染めて呆然としているおばさんにお礼を言って車に乗り込んだ。
走り出した車の中で私は、アイスをおいしそうに舐めている真木ヒナタを見た。
「ところで、何だったんですか?あの設定は?」
「えっ?何って、ヤクザって名乗るわけにもいかないだろ?だからだよ。」
真木ヒナタが、当然といった表情で私を見る。
私は、ヤクザと名乗れないことだけは納得したが、なぜあの設定かは理解できなかった。
でも、この2人のやることを理解するという事が最初から無理なので、あえて気にしないことにした。


