元の状況に戻る真木ヒナタ。
「アイスでいいのね。」
おばさんは、持って来たアイスを真木ヒナタに差し出す。
真木ヒナタは、苦しそうにそのアイスを受け取ると、ゆっくりとアイスを開け、ひと舐めする。
「・・・あっ、兄さん、もう大丈夫だよ。」
真木ヒナタが、うれしそうに立ち上がった。
「ありがとうございます。」
真木ヒナタの様子を見て、組長は、満面の笑みでおばさんの手を握る。
「い、いいのよ、これくらい。」
いつもは執事と一緒にいて目立たないけど、普通の人と比べたら十分カッコいい組長に手を握られ、うれしそうな表情を隠せないおばさん。
「ところで、ここにあった小夜さんの住んでいたアパートは、どうなったんですか?」
組長が、おばさんの手を握り締めたまま尋ねる。
「あ、アパートね。ちょうど1ヶ月前に大きな爆発音がして、火事になって燃えちゃったのよ。確か新聞には、ガス爆発って書いてあったけど。」
組長に手を握られたままで落ち着かない様子のおばさんが答えた。
「そうですか・・・貴重な情報をありがとうございます。」


