「大丈夫ですか、小夜さん?まったく、組長が、いきなり私ごと小夜さんを抱きしめたから、小夜さんが、押しつぶされそうでしたよ。」
執事が、泣き顔の組長を睨みつける。
「だってよ、あんな話、聞かされたら・・・・そりゃ泣くだろうよ!」
組長が半切れしながら答える。
「・・・・別に泣くのを責めてはいませんが?・・・・何で組長がここにいるのですか?確か買い物に出かけられたはずでは?」
あきれた表情の執事。
「・・・・いや、買い物から帰ってきて、龍一探していたら、小夜の話し声が聞こえてきたから、聞いていたんだけど。」
泣き声で説明する組長。
「・・・私を探していたっていうのは、何かの御用ですか?」
普通の表情に戻り執事が組長に尋ねた。
「・・・いや、何、たいしたことじゃないんだけどな・・・・・金くれ。」
組長が執事に右手を出す。
「・・・・一応確認しておきますが・・・・今日、組長には今月のお小遣い、朝一番で渡しましたよね?」
「うん。貰ったよ。」
「・・・・それでは、なぜ、今、お金がいるんですか?」
「なくなったから。だから、金くれ。」
屈託のない笑顔になる組長。


