「ところで小夜さん、通帳持っていますか?」
「・・・・家に帰れば持っていますけど。」
「・・・・小夜さんの家って、ハル婆さんの所ですか?」
「・・・いえ、そうじゃなくて・・・・本当の家です。」
「・・・・本当の家?」
執事は、意味がわからないというような表情をしている。
私は、今さら嘘をついてても仕方がないので、私の身に起きたすべてのことを、執事にあらいざらい説明した。
「・・・・・そうでしたか。・・・・そんなことがあったのですか。」
執事は私の話を聞き終わると、そう言って私を優しく抱きしめた。
「・・・あ、あの、りゅ、龍一さん?」
私は、いきなりの執事の行動に戸惑った。
執事に優しく抱きしめられている私の心臓は、今にも破裂しそうなくらいバクバクいっている。


