「花子やるな。お偉いさんに激かますとか。」


「怒られるのは、艦長ですからね。」


 まったく・・・。


「分かってるよ。反省文ぐらい書いてやるさ。」


 日本上空に停滞していたホムラ。


 いくら空気抵抗がない、宇宙空間とはいえ、そう安々と地球の裏側にいけるほど、優秀ではない。


 予想猶予時刻2時間は、本当にギリギリのラインだ。


「でも、どうしてこんなに接近するまで分からなかったのやろ?」


「Xポイントだろ?」


 Xポイント。


 それは地球の『死角』


 15年前まで、地球には死角はないと言われていた。


 数多くの天体観測場と衛星管理体制によって、地球から見える宇宙は、360度どこでも見渡せ、例え、隕石が接近しても、すぐに見つかるだろうといわれていた。


 しかし、それが覆されたのが15年前。


 戦艦ホムラ事件である。


 宇宙から飛来したこの艦の接近は、どの人工衛星もどの天体観測上も捉えることが出来なかったのだ。


 そのため、地球には、人間にはまだ見つけられない死角が存在するのだというのが、にわかに騒がれるようになった。


 それが通称『Xポイント』


 磁場の影響とか、太陽光線の影響だとか色々言われているが、詳しいことはまだ何も分かっていない。