「ああ、さっき、第二決勝戦で勝った人でしょ? あの人結構やるね。クロードも強いけど。ラーンは残念だったね。また来年頑張ってよ」


 無邪気そうに笑う彼とジュネスは関係ないようだ。

 ラーンは何だか納得出来ないようだが、スマルトがこの調子では仕方がない。

 自分は考え過ぎだったのだ。

 きっと、ここのところずっとスマルトに振り回されていた所為だ。と、彼なりの結論で自分の気持ちを押さえ込んだ。


「そうだラーン、ヴァレリスが君のことを呼んだいたよ」


「分かった。教えてくれてありがと」


 部屋を出ていったラーンの足音が遠ざかってから、部屋に残った二人はソファに腰掛けた。


「ラーンがジュネスを怪しんでる。『剣技がスマルトと似てる』だってさ。このままじゃあラーンだけじゃなく、他のヤツらも気付いちまう。どうする? レイガート」


「俺に聞いてもムダ。スマルトを呼んでこようか?」


「いや、いい」


 三人で居るところを見られたら、余計怪しむヤツがいるかもしれない。


「とにかく、明日で『公開決闘』が終わる。後一日なんだ。ここでバレたら今までがムダだ」


「ホント、君もスマルトも良くやるよ。ラーンのためにここまでするとは……、本当に好きなんだね」


「笑うな」


 赤くなるクロードを見て、彼はクスクスと笑っている。