力で押しても、ラーンはクロードに勝つことは出来ない。 「……っ、く……」 一旦引いて、スピードで勝負しようと、身を屈め、顔と平行に剣を構える。 間合いを詰め、クロードの太刀筋を躱し、素早く斜め下から剣を上げる。 「……っ」 切っ先がわずかにクロードの頬を掠る。 ちらっとクロードの顔を見やると、彼は笑っていた。 彼もまたラーンとの試合を楽しんでいるのだ。 しかし、そんなことは長くは続かない。 ここは『公開決闘』の場。勝者を決める舞台だ。