ラーンが闘技場に出ると、既にクロードが待っていた。

 試合直前の張り詰めた空気が何となく心地よく感じる。

 審判の指示に従い、中央に進み出る。

 改めて礼を交わし、剣を抜く。


「Ready!」


 審判の声が響いて、客席が沸き上がる。


「全力で来い!」


 しばらく互いの動きを見ていた二人だが、クロードの声を皮切りに、ラーンが仕掛けた。

 飛び上がったラーンは構えた剣をクロード目掛けて振り下ろす。

 ──ガキン!

 剣と剣がぶつかり合う、硬質の音が響く。