「ク、クロード? 試合は? どうしたの」


「んなもん終わったさ。見てなかったな」


「……ゴメン。ちょっと、スマルトを探しに」


「あいつなら、客席にいたぜ」


「え……。でも、ここからスマルトの声が」


 ラーンに負けたクロードは、仕方なさそうにドアを開けた。

 しかし、そこには誰もいない。人の気配すら感じられない。


「ホラ、だーれもいない。お前の早とちりだよ」


 さりげなくラーンの肩に腕を回したクロードは、控え室に行こう、とラーンを連れていった。


「国王って、随分ヒマな役職だな。いつもこんな感じなの?」


 伸びをしながら、レイガートは弟に訊ねた。