──コイツ、反政府組織の人間?

 そうだと分かると、余計に侮れない。

 反政府組織は、強い戦士を独自の方法で育て、『公開決闘』の場に送り込んでくるのだ。

『公開決闘』において、原則的に相手を殺すことは許されないが、決闘中の死はただの事故として片付けられてしまう。

 その為、万が一殺してしまっても罪にはならない。

 まさに、死ぬか生きるかの戦場。

 彼らの狙いはそこにあるのだ。


「悪いが、死んでもらうぜ」


 男は言ったと同時にラーンに斬りかかった。

 大振りな太刀筋を読んだラーンは、軽く刃を受け流し、彼の手元を突いた。

 鈍い音がして、剣がはじき飛ぶ。

男が動くより早く、ラーンは切っ先を彼の喉元に突き付ける。


「動くな」