Hearts! 【BL】

 
「兄……レイガート……?」


 差し出された手を掴んで、彼は立ち上がる。


「ただいま。スマルト」


「…………」


 声にならない感情は、表情にさえ上手く表すことが出来ない。


「約束通り、帰ってきたよ」


 彼が帰って来るのは、約束だった。

 わからない事ではなかった。


「心配掛けて悪かった」


 それなのに。


「会わないうちに、随分立派になったね。スマルト」


 頭の中が真っ白で、言葉を紡ぐことができない。