「国王の意志を取り下げようとするのは、君の意志? それとも、誰かにそう言われたから?」


「ヴァレリスに……、でも……」


 ラーンは彼から視線を外した。

 いつもそうだ。あの瞳を見つめていると、どこか調子が狂う。

 だが今日は何か、違う。

 強い視線が返ってこない。


「僕はスマルトに、無事でいてもらいたい」


「国王として? それとも、一人の人間として?」


「最初は、スマルトは王サマだから、スマルトに代わる人なんて居ないと思った。ヴァレリスにしつこく言われたし。でもね、僕……」


 ――僕……?

 僕、何を言いたいんだろう……。