「あっれー……。いないのかな」


 ラーンは噴水の前まで来て、辺りを見回した。

 諦めて帰ろうとしたとき、


「スマルト……?」


 彼らしい人影を奥の樹林に見つけた。


「国王」


 ラーンの声に振り返った彼は、驚いたような表情を一瞬だけ見せた。


「こんな所にいたんですか。探しましたよ」


 彼の姿を確認したとき、ラーンは小首を傾げた。

 妙に軽装で、髪もまとめていない。

 そんな彼を見るのは、すごく久しぶりだ。

 懐かしささえ感じる。