「――なぁ、どうしてお前はスマルトの決闘参加に反対するんだ? アイツの好きにやらせてやればいいだろ」


「そんなこと言ったって、ヴァレリスが……」


 そこまで言って、ラーンは口を閉ざした。

 クロードの言うように、スマルトの好きなようにさせるのがいいのかもしれない。

 そう思ったのだ。

 そうすれば、自分が困る必要もない。

 何しろ、王の言葉は絶対、なのだから。

「クロードの言ってること、間違ってないと思う。けど、取り敢えず僕の仕事だから……、スマルトの所に行って、もう一度話してみるよ」


 ラーンはニコッと笑みを見せて、庭園の方に向かった。

 そこは、スマルトにとって特別な場所だから。 

 なぜ特別なのかを知る者はいない。

 理由は彼の心の深くにある。


「――行ったってムダだと思うぜ……。約束だからな」