そんな彼が、今だけは少し羨ましく感じて仕方ない。


「そんなことより、スマルト知らない?」


「『公開決闘』のことか? アイツ、諦める気はなさそーだぜ」


 途端に、ラーンの表情が曇った。

 ヴァレリスの、嫌味げに怒る顔が脳裏に浮かぶ。


「……クロード、スマルトと話したの?」


「まぁな……」


 がっくりと、ラーンは肩を落とした。

 クロードが何を言ってもムダだったのに、自分が言っても無理に決まってる。

 そう思ったのだ。

 不意に、クロードの手が伸びてきて、ラーンの横顔に触れた。