ここはナイティア王国城内の庭園。

その中央にある噴水を、この国の国王スマルトは何気なく眺めていた。

 そこは、今は亡き、ナイティア前国王の形見の一つであると同時に、彼にとって大切な場所でもある。

噴水までを辿っている小道を、ナイティア騎士団の団長:ラーンは、スマルトを探しにやってきた。

 端正な顔立ちの中に、まだ幼さの残っている彼は、若い国王に声を掛けた。


「国王、二週間後に控えた『公開決闘』のことについてお聞きしたいことが‥‥」


「ラーン、確かに私は国王だが‥‥、同時に君の友人でもあるんだよ」


 ラーンはスマルトから視線を外した。

 この青い瞳に見つめられると、どこか調子が狂う。


「――分かってます」