最後の言葉に特に力をこめて言う。


当たり前のように『狩り』なんて言葉を使うママも吸血鬼。


あたしが吸血鬼なんだから、その親も当然ってわけ。


ママだけでなく、パパも吸血鬼で、吸血鬼の血筋に生まれたということになる。



人の世では、『吸血鬼は一度死んだ人間が吸血鬼として生まれかわり、不死身となる』なんて言われている。


吸血鬼の始まりがなんなのか知らないあたしには、それが正しいのかもよくわからないけど、

少なくともあたしも親も、吸血鬼から生まれたから吸血鬼。


人として生きていたことはない。



中世イギリスで魔女狩りにあって亡くなったおばあちゃんは昼間出歩いたり、聖なるものに触れたりできなかったらしいけど、

あたしは平気。


ママもパパも日の光が少し苦手だけど、出歩けないほどではない。


だんだんと、血を糧に生きてること以外は人と変わらなくなってきている。


映画のなかの吸血鬼のように、人を吸血鬼に変えるなんてことも、実際にはできない。


パパが言うには、おばあちゃんが子供の頃にはそういうことが行われていたらしいんだけど、

見たことないあたしには実感がわかない。