神藤くんが首を傾げる。
「あたし、人よりも長く生きてて、老いが遅くて。同じ場所に長くはいれないの」
彼の表情が驚きで固まる。
「長く……?」
「そう。あたしこれでも100年近く生きてるのよ。10年も同じ場所にとどまれば、姿の変わらないあたしを変に思う。
だから、卒業と同時にどこか遠くへ行くの。それだけでも悲しいのに、せっかく仲良くなった友達とこんなに早く別れるのは嫌」
かたまりの解けた彼の顔がゆがむ。
あたしの悲しみを自分のことのように感じてくれてるんだろうか。
「……そうか」
神藤くんはあたしの手をとって、ぎゅっと掴む。
そこから、じんわりと彼の体温が伝わった。
「それなら、なおさら、俺は言わない」
その言葉で、また涙があふれる。
「うん、ありがとう」
鼻をぐずぐず鳴らしながら、お礼を言って、神藤くんの腕のなかから抜け出た。



