「ああ、言うつもりはない」
「ほ、ホントに?」
あまりに都合がよすぎる気がして、信じていいのかわからなかった。
「そりゃあさ、血を吸って人を殺してるなら怖いし、誰かに言うかもしれないけど、
少し血をとられるくらいなら、俺、ピンピンしてるし、生きるために血を吸うんだってわかってるから、騒ぎたてることはないって思うんだけど、変か?」
勢いよく、首を横に振る。
怖がらないのはちょっと変わってるのかもしれないけど、あたしは嬉しかった。
そんな風に人に言ってもらうのは初めてで、胸がつまった。
どうしよう、止まらない。
涙があふれる。
何か言おうと息を吸い込んだ。
でも、音となる前に、神藤くんに腕をひかれ、口が何かにぶつかった。
さっきまでの壁の冷たさではなくなり、前からも後ろからも温もりがあたしを包む。
右肩と腰の後ろにおおきな手がある。
首元に息がかかる。



