異常に伸びた犬歯を神藤くんはじっとみつめた。
「この髪や目はうまく言えないけど」
自分の髪の毛に触る。
「ひょっとしたら、これがあたしの本来の姿なのかも」
「本来の姿?」
「ええ。今は人と変わらない姿をしているけど、もともとは全然違う姿をしていて、人らしく見せる力をもっていたらしいの。
でも、人の世で生きるうちに、カムフラージュだった姿に定着して、本来の姿は失われたと聞いてるわ」
学校でトマトジュース混じりの血液を飲んだときは、こうはならなかったはずだ。
いきなり真っ赤な髪と目になったら、すぐに大騒ぎになる。
なら、どういて今はこうなってしまったのか。
久し振りに純粋な血液を飲んで、興奮して、眠っていた本能が目覚めてしまったということ?
「――あ」
神藤くんが変な声を出したかと思うと、あたしの髪の毛を一束とった。
まるで毛先に神経が通っているみたいに、緊張がじんわりと広がっていく。



