一瞬、迷ったそのとき、手首を掴まれた。
誰かなんて、見なくてもわかる。
足の傷と首のかみ痕から香るその血はもう覚えてしまった。
荒い息を繰り返しながら、後ろを見ると、やっぱり神藤くんだった。
あたしの首のすぐ後ろに彼の顔がある。
彼の口からも荒い息が続いている。
「やっと、つかまえた」
手首を引っ張れれ、クルリと反対を向かされる。
右手であたしの右手首をきつく掴んだままだ。
「こんな状態で廊下に飛び出すなんて、もしかして気づいてないのか?」
「な、何の話?」
あたしが眉をひそめると、神藤くんはため息をついた。
「こっち、来て」
手を引かれ、その後に続く。
神藤くんはすぐ側にある階段の前で止まった。
「見て」
促されて見ると、そこには姿見があった。



