あんなに美味しそうに見えていた、見た目に完璧で綺麗なケーキも。
崩れるのは本当に一瞬で、それは男女の関係と同じかもしれないね…。
「なに、言ってんだよ…」
「・・・っ」
向かいの彼の引き攣った表情に、目の奥がツンと来てしまった。
「なぁ、何の冗談…?」
「っ、冗談じゃない…。
本気じゃなきゃ、こんなコト言わないから。
私がウソつくのを嫌ってるって、分かってるでしょ?」
本当は泣きたいのを堪えて、必死で強がって返したけど。
「…なんで?」
「…そろそろ潮時だから」
これでも、予行演習をしていたというのに。
イザとなると、人間って上手く立ち回れないものだね?
アンタと別れたい理由なんて、ナイに決まってるじゃん。
好きなトコなら一杯浮かぶのに、嫌いなトコは浮かばないのよ。
嫌なところオンパレードで、上手く御託を並べるつもりだったのに。

