仕事人間の父らしく、過労であって欲しいって思ってた・・・
「お父様の病気は、スキルス性胃がんでした」
「何ですか、そのスキルス性って…?」
病院に到着した私は、母とともに担当医の説明を聞くことになった。
「30台から40代の女性に発症率の高いガンですが、男性も例外ではありません。
通常のレントゲンでは見つかりにくい箇所に、悪性の腫瘍が出来る病気でして…。
この病気は、見つかった際には既に手遅れという場合が…」
「うそ…」
口元を押さえて呆然とする母に、私だけは気を保たなければと思った。
「先生…、助かりますよね?
最近はガンの生存率も高まってますよね…?」
頭の中がグチャグチャになりながらも、必死に尋ねたというのに。
先生の表情はずっと固いままで、それが答えの気がした。
「…残念ながら、お父様の病状はステージ4に入っております。
スキルス性胃がんは進行が早く、ガン細胞が全身へとバラまいたように広がるのです…。
お父様の病状は…、すでに手術も難しい状況でした…」
「そんな・・・」
「わぁあああ!」
「・・・・・」
隣で母が泣き始めてしまって、私はもう泣けなくなった。

