仕事を早退した私は、飛び乗った新幹線で英大に電話を掛けた。
「ごめん、しばらく実家に戻るから!」
「え…、ずいぶん急だな?」
「ちょっと、お父さんが体調悪くて…」
父の病状が分からないから、それだけで留めておいた。
「えっ、大丈夫なのか!?」
「あ、うん、大丈夫だと思うよ。
ゴメン、そういう訳だから!」
「美波、何かあればすぐに連絡しろよ?」
「うん…、ありがと」
本当は怖くて、心配で堪らなくて、手が震えていたけど。
英大に心配を掛けたくないと、何も言わずに電話を切ってしまった。
私だって、この嫌なモヤモヤを現実にしたくなかったの・・・

