いつしか実家には、時おり電話を掛けるほど疎遠になっていた。
“美波ー、コッチにおいでんよ(来なよ)”
“それが、仕事が忙しぃんだわぁ”
母から電話が掛かってくる度に、いつもそう理由をつけていて。
言い訳をして、いつもコッチの彼や友達との時間を優先していた。
故郷よりも、いま生きている場所が心地良かったから。
戻らなかった事を後悔したのは、1ヶ月前だった・・・
「お父さんが…倒れた…?」
「美波、何とか仕事都合つけれんの!?」
慌てていると分かる声色に、心臓がバクバクした事は今でもハッキリ覚えてる。
「だ、大丈夫!
今日中には、そっちに戻るから!」
そうして仕事中に掛かって来た母の電話が、事の始まりだった。

