“コレ、弟の英大なの”
友達の絵美から紹介された時は、まさか恋に発展するなんて思わなかった。
その当時の私は彼氏がいて、貴方はもちろん大学生だったから・・・
それから絵美の家に行く度に出くわすようになって、話すようになって。
友達付き合いといった感じで、2人で飲みに行くようにもなっていた…。
“つーか、オマエの方が遊びだし”
それから暫くして、彼の浮気が発覚した私はアッサリ切り捨てられてしまう。
振られたその足で、何となく絵美のお家へ行ってしまったのだけど。
大企業で秘書をしている絵美は、その日は大事な会議があるとかで不在だった。
「こんなイイ女振るなんて、絶対にバチが当たりますよ」
「っく…、ありがとぉ・・・」
キツイ性格の絵美に、叱咤して貰うつもりだったのに。
優しすぎる英大の言葉が、私の心を一気に解きほぐしてしまった。

