時計仕掛けの宝石箱

こういう奴に限ってテスト前にノートを貸せとせがんでくるのだから、困ったものだ。

「俺は貸さないからな。自分でどうにかしろよ」

「分かってるよ、響也が貸してくれない事くらい。
でも、まだ当てはあるもんね」

「‥‥お前には誰かを当てにする前に、自分でやるっていう選択肢はないのか?」

「天地がひっくり返ったり、宇宙がなくなったりしたらやるかもな」

遠回しに答えるその器用さを勉強に向ければいいのにと思う。

が、飄々とかわして素知らぬふりをするだろうから、本人に言った事はなかった。

口を開きかけた時に、肩を叩かれた。

振り返ると、そこには愛想の良い笑顔があった。

「‥蜜羽(ミハネ)」

「響也、海ちゃん、お久し振り」

「あ、蜜羽っちだ。お久~!

う~ん、相変わらず可愛いね~」

「そーゆー歯の浮くような台詞を言わないの!」

「本当だってば。蜜羽っちったら照れちゃって~」

海斗と同レベルの阿呆な会話をし始めたのは、響也の幼馴染みの月崎蜜羽(ツキザキ・ミハネ)。

この二年一組の学級委員長だ。