時計仕掛けの宝石箱

どこにでもありそうな学ランとセーラー服が入り交じって、所々で固まっている。

響也はそんな地味な色の海を突っ切り、自分のロッカーを開いた。

整頓されたロッカーの中から教科書とノートを出し、持っていた数学の教科書をするりと滑り込ませる。

しっかりと中身を整えて扉を閉めた直後、ぱむ、と肩を叩かれた。

一瞬の間の後、溜め息混じりに振り返る。

響也の顔の間近には、無駄に輝いている笑顔があった。

「よ!相変わらず敵作るような事してんなぁ、響也」

「余計なお世話」

「うわ、ひでぇ!唯一無二の大親友の海斗クンが心配してあげてるのに!」

「いつから大親友になったんだよ」

大袈裟に泣き真似するのは、響也の真後ろの座席の眞鍋海斗(マナベ・カイト)。

たかだか十分程度の休み時間に、毎回声を掛けてくる、響也の数少ない友人だ。