時計仕掛けの宝石箱

苛立たしげにトーマを振り返ってる。

途端に、ルシャアナは己が怒っていた事も忘れて、トーマの様子に目を見張った。

「‥トーマ?」

小刻みに震える小さな肩。ルシャアナは思わずそれに触れそうになり、我に返って手を引っ込める。

「‥ハロルド様‥」

ルシャアナの問いに応える事なく、トーマは縋るようにハロルドに視線を移した。

僅かに揺れている空色の瞳からは、普段の無邪気な彼の輝きは消えていた。

「‥まさか、こんな事あるワケないですよね‥?

だって、俺達シェレスは<真実の門>‥<扉>を護る番人。

このセカイの万物をあるべき姿に保ちつつ、<門>が定めた<真実>と<運命>から外れてしまわないように護る存在。

理から外れてしまった森羅万象以外を傷付けるのは禁じられているはず、ですよね‥?」