時計仕掛けの宝石箱

「私が何で怒っているのか‥分からないの?

‥ラディオル・ブローダント」

「‥え」

何の事だか判らない、と呆けた顔をするラディオル。

エディリーンはもう一度見舞いたかったが、なんとか思い止まった。

「エディ、取り敢えず落ち着いて。な?」

「ルーディが鈍いのは、今に始まった事ではないですしね」

二つの影の説得に、エディリーンは小さく頷いた。

「‥そうね」

「ちょっと待って。
‥何で殴られたか、よく分かんないんだけど」

そんなラディオルの声に、影は盛大に溜め息をついた。

「ルーディってさ‥たまに常識的なトコ、抜けてるよな」

影が一歩窓の前に踏み出して‥

ヴェネツェアからもう一人の幹部のもとへと向かったトーマ。

腰まである薄紫の長髪を携えた美女が現れた。

細身の眼鏡の奥で光る紅い釣り目が、彼女の印象を苛烈にしている。