時計仕掛けの宝石箱




フランス・パリ某所。


旅行客の多く集うあるホテルの一室。

そのスイート・ルームのベッドの上に、寝転がるエディリーンの姿はあった。

フカフカした羽毛の掛け布団の上で、俯せになり本を開いている。

だが、目を通している様子はない。

エディリーンは、トーマと別れた後、すぐにもう一人の最高幹部である、ラディオル・ブローダントと此所で落ち合う算段だった。



しかし‥



「‥一体いつまで待たせる気なの‥?」

エディリーンは備え付けの壁掛けの時計を睨み付ける。

彼此、三時間以上待っているのだが、一向に彼が来る気配はない。

窓にかかったブラインドの隙間から外の様子を見たり、カウンターのボーイに聞いたりしたのだが、音沙汰無かった。

そろそろ嫌がらせなのではないかと、エディリーンは携帯を手にした。



‥‥こつ