時計仕掛けの宝石箱

込み上げてくる吐き気に耐え、叫び続ける蜜羽の声に脳内を掻き回されながら、
響也は何故か、微かな違和感を覚えていた。

そんな場合ではないと分かっていても、それが振り払えない。

「くっ‥!」

経験した事のない頭痛と吐き気で、視界が揺れる。

急速に全身から力が抜けて、たたらを踏んだ。

波打つ床が、響也の体に手を差し延べる。

このまま、倒れてしまおうか。

そんな甘い誘惑の囁きを、響也は真っ向から睨み付けた。




‥こんな状況下で、蜜羽を一人になんか‥できるわけないだろう!




響也は何よりも強いその想いで、なんとか踏み止まる。

酷い息切れで、知らぬ間に蜜羽を抱える腕を緩めた時、唐突に蜜羽の悲鳴が途切れた。