時計仕掛けの宝石箱

有り得ない。

嘘だ。

一瞬だけ見た、幻覚だ。



そう言い聞かせても、首を回して確認する気にはなれない。

そして、響也が無意識にとった行動は、蜜羽を守る事だった。

その行動が、響也の預かり知らぬ処で現実だと認識していた証拠である。

「響也っ、ちょっと、苦しいから‥!」

バシバシと背中を叩いて抗議する。だが響也は離さずに、耳元で呟いた。

「蜜羽、ごめん‥。でも今は、何も言えないんだ‥。
勝手な言い分だけど、俺を信じて。‥俺から、離れないでくれ‥!」

しどろもどろに話された内容は、結局あまり意味を為さなかった。

響也は補足もせず、そのまま沈黙してしまう。