時計仕掛けの宝石箱

「‥なんだろ、この変なシミ」

「さぁな‥」

これ幸いとばかりに、響也は蜜羽の独り言に便乗する。

蜜羽は気にとめていない様子だったが、それはこの際置いておく。

「ペンキにしては艶がないよね」

「だな。それに、こんな所にペンキが付いてるのはおかしいし」

蜜羽は躊躇せずにソレに触れた。

危険かもしれないという観念がないのだろうか。
響也は少し蜜羽の事が心配になったが、特に何もなかったので、よしとした。

蜜羽の細い指に付着した物体は、ザリ、と渇いた音を立ててあっさりと崩れた。

「‥なんだろ」

蜜羽は息を吹きかけ、粉になった物質を飛ばす。

響也も蜜羽に倣ってシミに触れてみる。

僅かに付いたのは、粉状のモノと液体。
擦ってみると、黒いのではなく赤が混ざっているのが分かった。