嗚咽が出そうになるのをこらえて、小さく体を丸めた。

 そしたら誰かの手が乗ってきた。


「子供みたいだな」


 大輔の低い声が落ちてきた。

 心地いい声音だと思った。


「いちゃつくなよ」


 ヤスの拗ねた声。


「いちゃついてねぇよ。ヤスがふっきるってんなら、俺は一生、こいつを守らないとな」


 心が悲鳴を上げた。

 殺される。

 大輔は私を殺そうとしてる。

 その髪をなでる手を止めて。

 そんな言葉言わないで。

 私の心が破裂してしまう。


「かっこつけちゃって。恵ちゃんが起きてたら言えないくせに」

「うるせぇな」


 大輔の手が離れたのが、なぜかすごくさびしかった。