千日紅が咲いている

「そりゃ、最初の頃はさ、ズルズル引きずりまくってたかもしれないけど」


 乾いた缶の音。

 音と声。

 それしか分からない。

 2人がどんな顔して話してるのかわからない。


「正直心配だったんだ。
お前も恵ちゃんも相談するようなタイプじゃないしさ。
どうなってんのか、よくわかんなかったからさ」


 ヤスが笑った。


「さっき見て思った。お似合いだって。
ああ、俺はあそこに入っていけないなって。
入る隙間なんてないじゃねぇかって。
当たり前のこと思った。ふっ切ってるはずなのにな」

「康弘…」

「あの日、勝敗が違ったら違う結果になってたかもって大輔は言うけど、そんなことないと思う。
俺が勝っててもこうなってたんじゃねぇの?」

「康弘、俺は……いつも不安なんだ。
恵は、お前のことが好きなんじゃないかって」


 大輔の言葉に、私は心臓を掴まれた気がした。


「あいつの視線はよくお前に向いている。
お前としゃべる時のほうがイキイキしてる気がする。
俺といるのは、お前といるための理由な気がする」