「あ、あの人、大輔の親友じゃないっけ?」


 沙織が、首をのばしていた。

 心が大きくジャンプして、振りかえる。

 そして、勢いよく落ちた。


「あの人、彼女いたんだ?」


 ヤスの隣に知らない女の子。

 私よりも髪の長い女の子。


 私たちには気づかないで、奥の席に進んでいく。

 楽しげに話している。

 優しげに笑っている。

 沙織が「声かけなくていいの?」って言っていたけれど、そんなのすぐに通り過ぎた。

 心が落ちまくって、地球の裏側に行ってしまいそうだった。