「お疲れ様!」


 赤いはちまきを巻いたままのヤスが顔をのぞかせたのは、体育祭の興奮が冷めやらぬ私のクラスだった。


「どうしたの、ヤス」

「このあと、時間ある?」

「え、うん。でもなんか、打ち上げするとか言ってるから、そんなにないけど」

「少しだけあるなら、ちょっといい?」


 私はうなずいた。

 心臓は期待から締め付けられた。

 私はとっさに、机に置いていたはちまきをポケットにつっこんだ。


 ヤスと大輔は幼馴染で腐れ縁。

 体育祭の団長をやったのは、お互い勝負するためだとか。

 ご褒美とか罰ゲームとかはまだ考えてないってその時は言っていたけれど、結局どうなったんだろう。

 勝ったのは白団。

 赤団は優勝を逃したけれど、応援賞を取っていた。