「琴音」 「…なに」 顔をふいと逸らし、素っ気なく答えると、いきなり腕を掴まれる。 「走るよ」 「え?…へっ…わ」 次の瞬間には、景色がぐらりと揺れ、体が前に傾く。 引っ張られたと気付いたのは、学校の教室に入ってから。 酸欠で肩を大きく上下させ、空気を思い切り吸う。 掴まれている手は既になく、窓側の席の方でその手の主は清々しい王子スマイルで女の子に囲まれている。