涼くんと話してたら、またあっという間にバス停の前に着いた。




……なんでかな。


楽しいから、早いのかな。





「じゃあ、今度こそまた明日ね」


「……ああ」




そう言って涼くんを見送ろうとしたけど。




……あれ?


涼くんは、バスじゃないよね。


なんで動かないのかな?





「涼くん?」


「………」


「どうかした?」




涼くんは何も喋らない。






雨の音だけが、サーッと響き渡る。






「……莉子、」


「ん?」


「……帰んないで」


「……え」






バスが来たのは、その時だった。





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