目を瞑る。



小さい手が私の肩少し下を押した。

その手は日向の手じゃなくて。



小さい衝撃が体に。

軽い。

「…っ!」

ドン!


私は頭を床に打つ。

私は何が起きたのか判らなかった。

由優が私をかばったから。


何も見えない。


上に由優が乗ってる?


軽い。軽かった。





目を開ける。




「し──…なぁ」



由優は凄く辛そうだった。

「由優!」

ガッ、と音が立つ程強く日向が由優の足の付け根を蹴りあげる。


「──っあ」

息が詰まったみたいな声。


「退け」

「先生…お願い」

日向が由優の髪を掴んで私の上から退かせようとする。

由優は私をはなさない。

しがみつくように、私を守っていた。



そんな由優の頭を床に付け、ぐいぐいと押し付けた。
容赦なく。


「ぅ…あ」

そして少し持ち上げると、ぱっと手を離す。

ガン!

思わず顔をしかめるような音と一緒に、由優は床に落ちた。



背中が余裕無く上下する。


日向の手は私の襟に。





「いやぁあああ!」




私は今までにない大きな声で叫んだ。