自分では気付いていない振りをしていたが、私は意外と根に持っていたらしい。

「そんなことないよ」

「…えー」

「本当!…私なんかの為に怒鳴ってくれて、嬉しかった」

柔らかい表情で、悲しい歌を歌うみたいにぽつんと溢していた。

「なんかの為って…」

「でもあれね、本当は──」

瑞穂がそう言い掛けたとき、教室の扉が物凄い勢いで開く。

バァン!

開いて、反射して、止まる。


「…!あ」

「映依のこと味方だと思ってんの?馬鹿じゃない?」

つん、と上から目線で麻耶が言葉を発した。

「──…」

「うわ、マジ?笑えるー。ねぇ、映依?」

私は椅子から立ち上がった。

「三崎さんは、関係無いから…」

「当たり前でしょ?」

瑞穂が肩をビクとこわばらせる。

「映依は転校生。私達は私達。映依は第三者なんだから関係無い」

「…」

「てか普通に考えれば映依が此方に付くの当たり前じゃない?隠れてコソコソ引っ張ったって、」

麻耶は一旦言葉の弾を切る。


 ・・
「無駄」