「ちょっ…!」


由優はしれっと言い放った。

「嫌?」

(何言ってるのこの人!)

私は精一杯頷く。
髪の毛がアスファルトに擦れて痛かったけれど、そんなことどうでもいい。

「じゃあ近付かないでくれない?」

「何で…」

「迷惑」

はっきりと、
はっきりとそう言った。


「迷…」

言い切ると、いきなり力を抜いて覆い被さってきた。
耳元で本当に迷惑そうに囁かれる。

「知りたいならそれなりのこと考えて来てよ。じゃあね」

(それなりのこと…?)

私は由優が退いたあとも、
由優が動き続けるラジコンを拾うときも、
由優が立ち去ったあとも、空を見上げていた。



「ムカつく…」

(どうして知りたいと思っちゃいけないの?)

「何それ…」


(あぁ、もう。)


「あ─────!もう!」



(わけわかんない)




「訳判んない!」