「周防慎嗣。十五で、東京のレストラン全ての総取締役の息子。」
背丈が百八十は裕に超えていた。顔がかなりの爽やかイケメンで、印象は良さそうだがピアスをしていて髪は金髪で顔がかなりだるそうな感じで不良だった。そいつと仲良く話している奴の自己紹介に入った。
「它沙美彩愛。二十二で、大企業のデパートの第十四代社長の娘・・・だよ!」
最後の語尾がウケ狙いだったらしく、慎嗣と二人で笑っていた。こいつもスタイル抜群で八頭身だった。ただかなりの化粧の量でケバく、アクセサリーをじゃらじゃら付けてウェーブの髪を指でくるくる巻き付け、携帯をいじっていた。そしていよいよ俺の自己紹介の番になった。
「三笠明!二十二で、テレビ局の社長の息子です!」
自分で言うのもなんだが長身で男顔のイケメンだと思う。自己紹介は決まったと思っていたら、誰かが口を動かした。
「ぷっ。熱血鬱陶しい。たかが観光なんだからそんなに力込めなくても。バカじゃないの?」
彩愛が上から目線でかなりヘコむことを言ってきた。それに連られて他の奴も、
「彩愛と同い年のくせに古臭いな。三十代に見える。」
慎嗣が言ってきた。
「一日だけの観光にそんなムキになれるとかやる~」
続いて紫苑。
「こんな奴がいるとせっかくの観光が台無しだよ。」
などと、瑞季、愛、聡治郎までに言われ、半ばリンチ状態ななり、俺は何も言い返せ無かったのがすごい腹が立った。そこに割り込んでガイドの人が話し始めた。
「ささっ。今回行く島は赤道直下の常夏なのでいまのうちに涼しい格好にして下さい。」
「あっちに着いてから着替えてもいいでしょっ!」
彩愛にキツく言われ結局そのまま乗り込むことにした。俺はこのメンバーで一日をしっかり過ごせるかどうか心配だった。
船に入ってからも、愛と瑞季、慎嗣と彩愛がずっと話していて、俺が話し掛けようとすると全員シカトするだけで凄い暇なまま10時間続いた。