道のない甲子園



「監督からお前をセカンドのレギュラーで使うと言われている。
雰囲気になれるまで大変だと思うが頑張ってくれ。
早速セカンドの方へ行ってくれ」

「わかりました」


俺はセカンドに向かった。

何球か投げたところで、遠くに監督の姿が見えた。


俺はセカンドから本塁まで、本気で投げた。


「うわっ」

本塁でキャッチャー役をしている部員が尻餅をつき、ボールを弾いた。

守備練習をしていた者は驚いた様に固まって、誰も言葉を発しなかった。



"カシャン"

静寂に包まれるグランドに監督が入ってくる音だけが響いた。

「…しゅ、集合!!」