―――バタン



静けさが漂う、深夜2時。

いつもの薄暗い駐車場。

私は車から降りると、ふと目に入った夜空を見上げた。



包み込む闇。
瞬く星。
照らし出す月。



「…き、れい」



小さく呟いた言葉は、夜空に溶け込む。







―――どれくらい、時間が過ぎただろうか。

ふと気付いた私は、急いで携帯電話を見た。



「…2時40分……」



40分間も夜空を見上げていた。

現実逃避でもしていたのか。
前世の記憶からなのか。



「―――ありえない、んだけど…!」



私は焦る気持ちで、家路を進んだ。



明日こそ…
絶対、遅刻でクビかも…




―――ふわり



心地よい夜風が頬を擽る。

月光に照らされた、長い髪が靡く。





そんな夜空下。
   ヨゾラシタ